令和2年7月豪雨災害
◆令和2年7月豪雨災害 JCHO人吉医療センターの記録(別ページへ)
球磨村小中学校防災教育の日
2019年12月1日、球磨村小中学校防災教育の日ということで球磨中学校にて、ドクターヘリが傷病者を球磨中学校まで搬送しDMAT が応急処置し自衛隊の救護車にて病院へ搬送するという一連の展示訓練を行いました。訓練後は球磨村の小中学生にドクターヘリ、自衛隊、消防、DMAT の紹介がそれぞれあり、
当院 DMAT は渡邉医師が手作りした特性パネルを使用し、クイズ形式での紹介を行いました。小中学生のみならず大人の方にもウケがよく、改めて渡邉医師のマルチな才能を垣間見た瞬間でもありました。球磨村の方々に DMAT の存在を知っていただくよい機会となりました。
久七トンネルの多重車両事故訓練
2019年11月13日、今年も久七トンネルの多重車両事故訓練に参加してきました。
この訓練は人吉市と鹿児島県伊佐市を繋ぐ久七トンネルで、熊本県・鹿児島県の行政、警察、消防と合同で毎年行っている訓練です。今年は人吉市が訓練担当であったのでトンネルの人吉市側に救護所が設置され、そこで当院 DMATは北薩病院 DMAT と協力し傷病者のトリアージを行いました。
毎年訓練へ参加しておりますが、毎年新たな課題が見つかります。それだけ中身の濃い訓練であるということでしょう。
そして訓練が終了して病院へ帰ってくる際の道沿いの紅葉がDMAT 隊員を毎年癒してくれるのも恒例となっています。
令和元年度緊急消防援助隊九州ブロック合同訓練・九州沖縄ブロックDMAT実働訓練
11月10、11日の2日間、令和元年度緊急消防援助隊九州ブロック合同訓練と九州沖縄ブロックDMAT実働訓練(宮崎県)が行われました。
今回は下川医師、尾方看護師、小栗看護師、杉松看護師、那須業務調整員が参加しました。まず緊急消防援助隊との訓練は宮崎県南部山沿いを震源とする M7.3 の地震が発生、更にそれに連動して霧島連山新燃岳を震源とした M7.3の地震と新燃岳の爆発的噴火により土石流及び山崩落発生にて甚大な人的、物的被害が発生したことを想定したものでした。
宮崎県西諸県郡高原町の総合運動公園にてがれき下から消防隊が救出した傷病者を DMAT がトリアージと搬送先選定を行うというミッションでした。その訓練が午前中で終了した後、速やかに DMAT 実働訓練へ移行しました。DMAT 実働訓練は想定が南海トラフ地震のシナリオで進行しており当院 DMATは小林市立病院内にて病院支援や支援 DMAT の受け入れ準備、広域災害救急医療情報システム(EMIS)を使用して小林地区周囲の被害を確認する等の訓練を行いました。
これらの訓練を通し、消防との連携の重要性、病院支援の難しさを再認識するよい機会となりました。
【政府訓練】 令和元年度 大規模地震時医療活動訓練
9月7日、首都直下型地震を想定したDMATの訓練に参加してきました!
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『鹿児島空港から民間機で静岡空港へ!』
飛行機に乗る際は、モニターやエコーなどの医療機器や、衛星電話やトランシーバーなどの通信機器を機内に持ち込むため、航空会社によるチェックに時間がかかります。DMAT参集拠点である静岡空港に着いたら、レンタカーを借りました。実際の災害時もレンタカーになります。
『高速で横浜の参集拠点へ!』
翌日早朝から東名高速道路を3時間走らせ、DMAT参集拠点である神奈川県横浜市の昭和大学藤が丘病院へ行きました。
『横浜市内の活動拠点本部へ!』
同じく横浜市内にある横浜労災病院内DMAT活動拠点本部へ行くように指示を受けました。(時間の都合上、行ったテイで次の訓練へ)
『病院支援のため大学病院へ!』
病院支援の指示を受け、昭和大学藤が丘病院の災害対策本部へ行き、そこで、本部そのものの支援活動をおこないました。籠城に必要な物資の調達や重症外傷患者の搬送を、衛星電話を使ってDMAT活動拠点本部へ依頼。ミーティングをおこない、病院スタッフを休ませる方法や、トリアージエリアの場所の選定などについて提案。
患者搬送先の病院と、患者情報や搬送方法についてやり取り。
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本部支援は分からないことばかりで、自分の未熟さを感じました。勉強と訓練を重ねていこうと思います。
DMAT 医師 渡邉龍太郎
人吉市総合防災訓練
令和元年9月1日(日)、人吉市総合防災訓練が実施され、当院も共催として災害実働訓練を行いました。
被害想定は、午前8時30分に人吉盆地南縁断層を震源とするマグニチュード7.1の震度6強の地震を観測し、多数の被害者が発生と設定。発災直後に当院本館4階に災害対策本部を設置。職員は避難行動をとり、各部署責任者は被災状況を把握し本部へ報告。正面玄関前には被害者の治療緊急度を判断するトリアージエリアを展開し、重症群(赤エリア)、中等症群(黄エリア)、軽症群(緑エリア)に分かれ緊急治療を行いました。当院職員280名が参加し、地域協力会の皆さんや人吉アマチュア無線クラブの皆さん、下球磨消防組合職員の皆さんと多くの方にご協力頂きました。
また、この訓練実施の数ヶ月前より災害対策・防火委員会では、災害時における通信方法・災害時カルテ運用の検討、各エリアリーダー説明会、担架搬送訓練、無線指導等を行ってきました。
毎年実施していますが今回の訓練からも問題点や反省点を見いだし、今後に生かしていきたいです。
災害はいつ襲ってくるか分かりません。当地域医療圏の災害拠点病院として、医療従事者としてということを念頭に迅速に対応できるよう、職員一同努めて参ります。
久七トンネルの多重車両事故訓練に参加
今年も10月23日に人吉市と鹿児島県伊佐市を繋ぐ久七トンネルで、熊本県・鹿児島県の警察・消防と合同で多重車両事故訓練をおこなってきました。トンネルを封鎖し、乗用車3台に模擬患者さん達を配置し、訓練開始です。今回は無人偵察車両が登場しました。
今年は、トンネルの伊佐市側出口付近に、事故現場が設定されました。まず伊佐市の北薩病院DMATが駆けつけ、少し遅れて私たち人吉医療センターDMAT2隊が向かいました。片側1車線ずつしかないため、事故現場と救助車両で両車線が占拠され、事故現場の向こう側にある統括本部へ到着するのに時間がかかりました。
本部へ到着の報告後、トリアージポストと救護所の応援に回りました。久七トンネルは高地の山の中にあり、昨年は凍えそうなほど寒かったため、今年はカイロを持っていきましたが、そこまで寒くありませんでした。
南海トラフ地震を想定したDMATの訓練に参加
8月4日、南海トラフ地震を想定したDMATの訓練に参加してきました。
今回の被災地想定は、宮崎県、大分県、四国3県でした。当院からは2チームのDMATが参加しました。
第1チーム:【医師】下川、【看護師】尾形 立開、【業務調整員】田上PT
第2チーム:【医師】渡邉、【看護師】小栗 杉松 西山
<当日のミッション>
◯朝9時までに、DMAT活動拠点本部のある宮崎大学へ参集。(地震で通行できなくなった道を避けて到達します。)
◯本部で受け付けをし、指示があるまで待機。(待つこともDMATの仕事です。)
◯本部から、宮崎大学病院そのものの支援に回るよう指示あり。第1チームは、下川先生が医師不在のトリアージエリアへ、他の3人は本部活動の支援へ。第2チームは、全員が黄色(中等症)エリアの支援へ。
<自分の振り返り>
◯黄色エリアでは、自分が患者診察を担当することにより、そこの病院の医師には、患者移送のマネジメントに専念してもらう事ができた。
◯人・物・時間が限られた中で、数十人の外傷模擬患者を診察し、良い経験になった。
◯自分たちのチームがエコーを持ち込むことで、ショックの診療の質が上がった。
DMATが出動する際には、バックアップのご協力をよろしくお願い致します。
災害医療救護通信エキスパートに認定されました
災害時は、携帯電話もインターネットも通じなくなり、通信手段は、無線か衛星通信だけになります。DMATも災害拠点病院も、通信ができなければ活動が極端に制限されます。今回、宮崎県日向市を会場に、屋外での実技を中心とした、無線と衛星通信の研修を2日間受け、認定試験に合格してきました。
<非常用通信手段について>
①トランシーバー型無線
これには簡易無線とMCA無線があり、それぞれ実習をおこないました。前者の通信可能範囲は5kmですが、後者は、災害に強い堅固な中継局を介して全国と通信ができます。
②衛星通信
これには衛星携帯電話と衛星データ通信があります。いずれも人工衛星を利用するので、障害物のない開けたところで、アンテナを衛星に向けて使用します。
前者の衛星携帯電話は、主要な5機種について実習をおこないました。後者の衛星データ通信は、可搬型VSATという機材で、大きなトランクに入ったパラボラアンテナを組み立てて、衛星を捉え、通信をおこなう実習をおこないました。
<来たるべき南海トラフ地震に備え>
過去の震災では、多くの機関において、衛星携帯電話を持っているにも関わらず、使い方や置いている場所がわからないためにそれを使うことができなかったといいます。平常時から月1回利用することが推奨されています。平成28年6月に総務省から、「災害医療・救護活動において確保されるべき非常用通信手段に関するガイドライン」が出されていますが、実際の整備状況は遅れています。当院においても、できるところから整備を進めていければと思っています。
平成29年度九州・沖縄ブロックDMAT実動訓練
1月27日(土)~28日(日)の2日間にて平成29年度九州・沖縄ブロックDMAT実動訓練が佐賀県にて行われ当院のDMATも参加しました。DMATとは医師、看護師、業務調整員で構成され、大規模災害や多傷病者が発生した事故などの現場に、急性期(おおむね48時間以内)に活動できる機動性を持った、専門的な訓練を受けた医療チームのことです。当院DMAT隊員は10名おり今回は渡辺医師、尾方看護師、西山看護師、山田検査技師、筆者が参加しました。訓練は佐賀平野北縁断層帯を震源とするマグニチュード7.3の地震が発生し、更に同日、先の地震と連動するマグニチュード7.5の地震が発生。この地震により最大3.5メートルの津波が有明海沿岸全域に到達し、各地で甚大な被害が発生したことを想定して行われました。当院DMATは活動拠点本部のある佐賀県杵島郡にある白石共立病院と、病院支援にて派遣された有島病院にて活動しました。有島病院につくと被害状況を院長、事務長より確認し、立ち上げたインターネットや衛星電話にて活動拠点本部へ状況報告、必要な物資の要請をかけました。有島病院のスタッフの方々は勤務中にも関わらず訓練に協力して頂いたり、熱心に訓練を見学されたりと災害に対する高い意識を持っておられ、こちらが身の引き締まる思いでした。皆さんも最近よく耳にする南海トラフ地震では最大クラスの地震が発生すると、静岡県から宮崎県にかけての一部では震度7となる可能性があるほか、それに隣接する周辺の広い地域では震度6強から6弱の強い揺れになると想定されています。 また、関東地方から九州地方にかけての太平洋沿岸の広い地域に10mを超える大津波の来襲が想定されています。当院DMATはこれからも訓練を繰り返し、「その時」が来た時にしっかりと対応できるよう備えていきたいと思います。
平成29年度 九七トンネル総合防災訓練
10月24日、人吉市と鹿児島県伊佐市の県境に位置する国道267号九七トンネルにおいて、トンネル内での交通事故(マイクロバスと乗用車の正面衝突)を想定した防災訓練が実施されました。熊本県・鹿児島県の消防組合や医療関係機関、警察が連携し救助活動、復旧活動の訓練を行いました。両県の消防・警察などによる合同訓練で、トンネルが開通した平成16年から定期的に行われています。
当院はDMAT隊員として医師1名、業務調整員3名、看護師5名で参加しました。県立北薩病院からもDMAT医師1名、看護師2名が参加しました。DMAT隊はトンネル内の安全が確認された後、事故車両内に侵入し、トリアージ及び救命処置を行いました。またトンネルの外に応急救護所を設置し、負傷者のトリアージ、応急処置を実施し、搬送医療機関の選定を行いました。事故現場はトンネル内で薄暗く、騒音などで観察や処置が困難であると訓練を通して感じました。このような合同訓練で消防組合や警察・行政・他医療機関と顔の見える関係を築き、連携をとっておくことが必要であると思いました。
最近では当院も多数傷病者を受け入る事例を経験しました。当院は災害拠点病院であり、災害医療を提供する上で、中心的な役割を期待されています。日頃からあらゆる事態を想定し、災害時の患者受け入れ体制の整備に努めるよう全職員で取り組んでまいります。
平成29年度災害実動訓練
平成29年9月24(日)、人吉市総合防災訓練が実施され、当院も共催として、災害実動訓練を行いました。
平日の朝、人吉盆地南縁断層を震源とするマグニチュード7.1、震度7~6弱の地震を観測、多数の被災者が発生した、との被害想定でした。午前8時30分に発災。職員は退避行動の後、直ちに被災状況の確認と集約を行い、8時45分に当院4階に災害対策本部を設置し、医療体制を通常体制から災害医療体制に切り替えました。さっそく、正面玄関前にトリアージエリアを展開し、続々と搬送される被災者を重症から軽症までの緊急度を判定し、それぞれの重症度に応じた医療エリアにおいて救急治療を行いました。今回は外国人の要治療被災者の設定や、指定避難所の人吉高校から多数の被災者が搬送されるなど、より実態に即した想定で行われました。また、栄養管理部では初の取組みとして、備蓄飲食料品の院内搬送訓練も実施。災害時、必要な備蓄物資を円滑に提供するべく、検証と訓練を行いました。トリアージエリアはもちろん、災害対策本部、病棟その他すべての部署において、実際の災害発生時さながらの緊迫した空気の中で行われた訓練は、発災から2時間を経過した10時30分に終了。参加者数は、当院職員226名に加え、被災患者役をお引き受けいただいた地域協力隊の皆さんや、災害時の通信手段として大きな力となる無線通信のご協力をいただいた人吉アマチュア無線クラブの皆さん、そのほか、人吉下球磨消防組合の職員等々、総勢300名を超える大規模な訓練となりました。
人吉盆地南縁断層地震や南海トラフ大地震等の発生が懸念される九州地方にあって、当院は人吉下球磨地域における地域医療支援病院としても、また災害拠点病院としても、災害発生時には被災住民に対し速やかに、必要かつ十分な医療を提供する責任があります。今回同様の大規模な災害実働訓練は毎年実施しておりますが、訓練の成果に満足することなく、いつ起こるともわからない災害に備え、発災時には迅速に対応するべく、職員一同努めてまいります。
平成28年熊本地震 JCHO人吉医療センター活動状況
被災されました皆様へお見舞いを申し上げますとともにお亡くなりになられた方のご冥福をお祈り申し上げます。
また、当院病棟上層階の揺れがひどく患者のみなさまには床頭台が倒れるなど外傷等はなかったものの、ご心配などをお掛けし申し訳ございませんでした。
さて、平成28年4月14日熊本地震の前震(最大震度7、M6.5)では当院がある人吉市は震度4、16日の本震(最大震度7、M7.3)では、震度5弱が観測されています。当院の各部門における災害活動状況について報告いたします。
DMAT
人吉医療センターでは、DMATを2隊(9名)配備しております。DMATとは災害時の急性期・初期活動ができる専門的な訓練を受けた医師・看護師・業務調整員で構成された災害派遣医療チームのことです。
4月14日に発生しました震度7を超える熊本地震の余震後、熊本県よりDMAT派遣要請が人吉医療センターに入りました。それに応えるべく、チームは日付が変わる24時過ぎには指定された熊本赤十字病院へ出発。深夜3時過ぎから熊本赤十字病院に待機。先発隊は被害の大きかった地区に救護所を立ち上げる等の活動をする中、明るくなるにつれて被害状況が明らかになり、我々のチームは倒壊の危険がある益城町周辺の病院からの患者転院支援の業務にあたりました。各県からの応援DMATも続々と到着し、県内の隊は自施設優先との指示もあり同日21時頃には人吉へ撤収完了しました。16日の本震直後にも1隊派遣、また県庁の医療救護班本部には下川副院長をはじめ業務調整員派遣の要請にもDMAT隊員を派遣しております。
現在でも余震など予断を許さない状況ではありますし、派遣活動で熊本市内に行くと復興にも相当な時間がかかると感じます。今後も被災県のDMAT隊員として、出来るかぎりの協力を行いたいと思います。
人吉医療センターDMAT 木下 学
災害対策本部
14日21時26分、人吉市は震度4、大きな揺れを感じた職員は院内外から病院事務部に参集し、自動的に災害対策活動が始まりました。TVの大きな地震情報を耳にしながら、①災害規模の把握②病院被害状況の把握③地域の状況把握④職員や患者状況把握を行いました。ホワイトボードにライティングシートを貼付、施設状況把握シート・職員状況把握シート、職員名マグネットボードその他災害対応ツールを設置し、各部から寄せられる施設状況と職員情報を記録、EMIS(救急医療情報システム)登録、DMAT派遣に関する準備や後方支援、アマチュア無線によるDMAT緊急車両が走る道路情報の把握や高速道路ICへ緊急車両通行の連絡、職員安否情報は緊急連絡網を利用、災害医療体制の準備として特に医師の所在確認を行いました。
16日深夜に再び震度5弱の揺れがあり、病棟上層階の床頭台が倒れるなどの被害がありましたが、患者さんに怪我はなく幸いでした。その他、透析やレスピレータ関連情報を含む地域の医療情報の把握、厚生労働省DMAT事務局、県庁、保健所、市役所、JCHO本部と地区事務所との連絡やメディア対応を行いながら、ドクターヘリや救急車による患者受け入れ対応を行いました。
今回は、ライフラインは無事でしたが、毎日余震は続き警戒が必要な状況です。準備物の確認を含め、さらに警戒していきましょう。
総務企画課 西山 三智
看護部
当院では、6名の看護師が「災害支援ナース」として登録を行っており、今回の熊本地震では4名の看護師、また、助産師協会の依頼により1名の助産師が、災害支援にあたりました。
今後も長引く避難所生活や、復旧作業などで体調不良を訴える人が多くなることに対応して、被災者などの支援にあたります。
公益社団法人日本看護協会は、地震発災後に災害対策本部を設置し、4月17日より熊本県看護協会が災害支援ナースを県内派遣し、県の保健師と連携し、24時間2交代で被災された方の支援にあたっています。
-「災害支援ナース」とは?-
看護職能団体の一員として、被災した看護職の心身の負担を軽減し支えるよう努めるとともに、被災者が健康レベルを維持できるように、被災地で適切な医療・看護を提供する役割を担う看護職のことです。実務経験5年以上で、一定の研修を受講した看護職が都道府県看護協会に登録されています。阪神淡路大震災の後、大規模災害に対応するために日本看護協会内で仕組みが検討され、現在の災害支援ナースの体制が構築されました。2016年3月現在、7,771名の登録があります。
看護部 井手 美智子
経理課
〇地震発生後、ただちに病院へ向かい中央監視モニターの異常が無いことを確認。
〇警備員に防災センター警報盤の異常の有無の確認
〇非常用エレベーター(EV)停止の回答(感震装置起動による停止)EV保守会社担当者へ連絡:翌日復旧
〇取引先(医療用ガス・重油・灯油)被災状況確認及び在庫・供給体制の確認。
〇高層階(9階)より順次、病棟床頭台の転倒防止の固定作業。
〇ライフラインの確認(第1~3電気室、発電機(3台)、受水槽・高置水槽・ろ過装置・配管・地下水の水位・濁り):異常なし
〇施設点検(ボイラー・地下タンク・液体酸素タンク(CE)・マニホールド・ストレージタンク・チラー・熱交換器・オートクレイブ・ヘリポート・エコキュート・厨房電磁調理器・外壁の確認):異常なし
〇診療材料仕入れ先の被災状況確認及び在庫・供給体制の確認。
エームサービス在庫・供給体制の確認。
〇看護学校・職員寮の施設点検
〇職員寮エレベーターの停止確認(感震装置起動による停止)EV保守会社担当者へ連絡。
他異常なし。
経理課 村山 純一
臨床検査部
二度の地震で機器の破損などはありませんでしたがネットワークの不良で電子カルテが使えなくなり翌朝復帰するまで紙運用となりました。
地震との関連は不明ですが感染症検査機器のサーバーが立ち上がらなくなり1日稼働できませんでした。
検査部25名の安否確認、連絡等に電話は繋がりにくく、メールでは面倒なので「検査室LINE」を立ち上げました。情報の迅速な伝達と収集にかなり役立ちました。
臨床検査部 阪本 裕子
救急センター
被災地からの域内搬送受入が可能な様にベッドの配置を変更、廊下には簡易ベッド椅子を配置し、通常の救急患者と被災患者の受け入れ担当を分け、その日の受診相談や入院受入れを行いました。
実際には、被災地で透析ができない患者の透析相談や被災地でけがをして避難してきた方の受診相談、熊本市内での入院受入困難な患者や状態が落ち着いた患者を他県のDMAT・ドクターヘリが出動して受入を行いました。透析については当院では維持透析が困難なため、連携室と協働し、近隣医療機関と連携をとりました。院内で協力し、早急に地域の状況の確認がとれたことは、良かったと思います。
現在、今回の地震で受診される方は少なくなってきておりますが、被災地より避難してきている方など体調を崩される方もいらっしゃるようです。エコノミークラス症候群など重症化すると命に危険を及ぼすものもありますので、予防など行いくれぐれもご注意ください。今後も患者さんの状況に合わせ、柔軟で的確な対応ができるよう体制を整えていきたいと思います。
医療福祉連携室 金栗 由佳
栄養管理室
今回の熊本地震では幸いライフラインに影響なく、1回目地震の翌日に熊本市内から物資の配送が出来ず4月16日分のみ献立を替えただけで、問題ありませんでした。その後、地元の業者から米や肉類・野菜類の調達、給食委託業者取引先の調達も確保できており災害時の対応は万全ですが、余震が続いているため油断はできません。
また、あくまでも今回の地震に対しての対応であるため、もし人吉・球磨地方で同じ規模の地震(災害)が起こった場合を想定すると、交通の寸断だけでも給食物資が運ばれて来ない訳ですから食料の確保は難しいと考えられます。現在の備蓄食品は患者用が3日間、被災者や職員用は2日間、飲料水は3日間で、今後数量や保管場所などの検討が必要と感じました。
栄養管理室 大岩洋子
画像診断センター
今回特に異常なく、通常の業務が可能でした。
もし、災害発生した場合は、第一に患者様の安全確保を行い、スタッフの状況確認、装置の状況確認、放射線管理区域の損壊状況確認等を行います。また、災害発生時商用電源が使用できない場合は非常用自家発電を使用します。使用電力を最小限に抑えられる理由から回診用X線撮影装置2台、外科用イメージ2台、口外汎用歯科X線撮影装置1台、CR読み取り機2台、PACSが使用できない場合はフィルム出力で対応します。
画像診断センター 丸尾 時雄
医療福祉連携室
医療福祉連携室では、被災地の医療機関で入院継続が困難な患者さんの転院、避難者の外来受診調整を行いました。余震が続くため、いつでも受け入れ調整が行えるよう、16・17日は24時間体制をとり、交代で対応を行いました。また、現在は当院の臨床心理士が、カウンセリングを実施し、被災者の心理的支援も行っています。
今回の震災ではヘリを使った搬送などもあり、近隣の消防署などとの連携強化、また、医療機関間でのスムーズな患者情報共有の必要性を感じました。今後、今年4月から運用が開始されている熊本メディカルネットワークシステムなどのツールを活用していくことで、正確で迅速な患者情報の共有が図れるのではないかと考えます。まずは既存のツールを有効活用し、災害時にも患者さんに安心して医療を受けていただける環境作りに取り組んでまいります。
医療福祉連携室 今井 志帆
…臨床心理士より……
災害後のストレスは、時間が解決してくれることも多いと言われる一方で、数年経過しても被災時の傷が癒えないとの報告もあります。
被災後の不安の訴えや落ち込みなどは、程度の差はあっても誰にでも起こりうる自然な反応でもあります。また、被災直後は、身体の安全や衣食住などの生活環境の充足が優先され、数日、数週間が経過することで、徐々に日常生活にも目を向けることができるかもしれません。しかし、お腹や頭が痛い、何にも感じない、落ち着きがない、自分を責めてしまうなど、身体、気持ち、行動、考え方にストレス反応がみられる場合があります。また、一見元気に見えたり、活動的になったり、気がつきにくい場合もあります。さらには、支援者として誰かのために働くことが、かえって自分自身に大きな負担をかけていることもあり、見過ごされがちです。
そこで、当院でも被災者への対応方法、早期ストレス反応への気づき、さらには、支援者自身のセルフケアを目指し、災害時の心のケア冊子を院内マニュアルに追加しました。
災害支援では、早急な支援と継続的な活動が必要です。適切な対応方法を学びつつ、災害時に備え、今後の支援に繋げて行きたいと思います。
臨床心理士 鶴田 真奈美
平成26年度 災害拠点病院災害訓練
8 月 31 日(日)人吉市で大規模地震を想定した総合防災訓練が実施され、当院も訓練に参加しました。同日午前 8 時 5 分に人吉市の断層を震源とする震度 6弱の地震が発生し、各地で家屋倒壊、火災、交通事故等が起きて大勢の被災者が出たという想定で訓練が行われました。
院内では職員約 230 名と地域協力会員をはじめとするボランティア 70 名が参加する災害実動訓練を行い、地域連携を 1 つのテーマとして、市役所、消防署、保健所などの行政や医師会・近隣医療機関との連携、そして地域協力会、人吉准看学院生、消防団、人吉アマチュア無線クラブの方々の協力のもと行われました。訓練では、当院に多数の負傷者が運ばれ、正面玄関に設置したトリアージエリアで医師、看護師を中心にトリアージを展開し、院内で重症群(赤)、中等症群(黄)、軽症群(緑)の各エリアでの検査及び治療など実施し、病棟への傷病者搬送訓練、通信訓練等を実施しました。
昨年、竣工しました新棟にはヘリポートも整備され、災害拠点病院としての機能を拡充し、衛星携帯や防災無線、高性能のアマチュア無線などインフラ整備も行っております。
今後もそれらの使 用方 法ならびにトリアージSTART 法などの技術の向上、必要な資機材の準備、その他、今回の訓練で出た課題を活かして、さらなる災害医療体制の向上に取り組んでいきたいと考えます。
実際に災害が起きた場合、被災者は混乱し不安の中、病院に来られると思います。その際、医療従事者である私たちが冷静になり迅速に対応し、安心感を与えていかなければいけません。今後も有事の際に迅速に対応ができるように、職員一同努めて参りたいと思います。
7階病棟 看護師 白石 美月
院外活動
DMAT (東日本大震災)
2011 年 3 月 11 日(金)に発生しました東日本大震災に際し、人吉医療センタ^からも、DMAT 2チームが出動しました。