令和3年 JCHO人吉医療センター 病院指標

令和3年度 人吉医療センター 病院指標

医療法における病院等の広告規制について(厚生労働省)

  1. 年齢階級別退院患者数
  2. 診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  3. 初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数
  4. 成人市中肺炎の重症度別患者数等
  5. 脳梗塞の患者数等
  6. 診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  7. その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)

年齢階級別退院患者数ファイルをダウンロード

年齢区分 0~ 10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~ 90~
患者数 184 82 111 155 276 422 977 1,531 1,396 422

2021年度に当院を退院した患者さんの年齢を10歳刻みで集計したもので、患者さんの年齢構成を把握することができます。

60~80歳代の患者さんが約8割を占めています。 また、小児科の入院施設が近隣にないこと、県境(鹿児島・宮崎)からの小児科患者さんも来院されることにより10歳未満の患者さんも多くなっております。

診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード

内科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均
年齢
患者用
パス
110310xx99xxxx 腎臓又は尿路の感染症 手術なし 33 16.2 13.14 27.3 77.2
080010xxxx0xxx 膿皮症 手術・処置等1なし 26 18.7 13.07 26.9 75.1
040081xx99x0xx 誤嚥性肺炎 手術なし 手術・処置等2なし 23 19.8 20.57 52.2 83.5
161070xxxxx00x 薬物中毒(その他の中毒) 手術・処置等2なし
副傷病なし
20 6.8 3.70 20.0 45.9
0400801499x013 肺炎等(市中肺炎かつ75歳以上) 手術なし
手術・処置等2なし 副傷病あり A-DROP スコア3
14 21.5 19.39 64.3 87.4

内科(総合診療科)は複数の症状や、特定の診療科がない場合等に診療を行う診療科です。

その中で最も多い疾患は、尿路感染症と急性腎盂腎炎です。尿路とは、尿が作られて排出されるまでにたどる、腎臓、尿管、膀胱、尿道のことをいいます。 この尿の通り道に細菌が感染し、炎症が起こるものを「尿路感染症」といいます。 尿路感染症の多くは、尿道口から侵入した細菌が尿路をさかのぼって感染、炎症を起こす「上行性感染」によるものです。

2位は蜂窩織炎で「蜂巣炎(ほうそうえん)」とも呼ばれます。皮膚の下の蜂窩織と呼ばれる部位(真皮から脂肪織と呼ばれる、皮膚の表面を除いた部分)が細菌に感染し、炎症を起こす病気です。

3位は誤嚥性肺炎です。誤嚥(ごえん)とは、口の中や胃の中のものが誤って気管に入ることです。その気管に入ってしまった異物に含まれる細菌が原因で肺炎になることがあります。高齢者の方に多い疾患です。 高齢の方は異物を排除する力が低くなっているため、異物が気管に入ったままになりやすく、さらに抵抗力や免疫力が下がっていることなどもあり、誤嚥性肺炎になりやすいといわれています。また、脳梗塞などの脳血管障害がある場合も誤嚥が起こりやすくなります。

4位は薬物中毒の疾患で、これには過量服薬などによる急性薬物中毒の他にマムシ咬傷、蜂刺症なども含まれます。

5位は肺炎です。

※肺炎データに関しては「成人市中肺炎の重症度別患者数等」もご参照ください。

呼吸器内科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均
年齢
患者用
パス
040110xxxxx0xx 間質性肺炎 手術・処置等2なし 25 12.9 18.42 0.0 73.3
040040xx9910xx 肺の悪性腫瘍 手術なし
手術・処置等1あり 手術・処置等2なし
14 2.43 3.30 7.14 75.2
040040xx9900xx 肺の悪性腫瘍 手術なし
手術・処置等1なし 手術・処置等2なし
10 8.5 13.12 0.0 77.1
040040xx99080x 肺の悪性腫瘍 手術なし
手術・処置等1なし 手術・処置等2-8あり
副傷病なし
- - - - -
040040xx99040x 肺の悪性腫瘍 手術なし
手術・処置等1なし 手術・処置等2-4あり
副傷病なし
- - - - -

1位は間質性肺炎となっております。間質性肺炎とは普通の肺炎と違い、肺の「間質」という部分に生じる肺炎です。 肺の構造を詳しくみると、空気が入る部屋がいくつも存在しています。空気の入る部屋はそれぞれ「間質」と呼ばれる壁で区切られており、肺の組織は全体として蜂の巣のような構造をしています。主に間質において炎症が生じることを、間質性肺炎と呼びます。

2、4、5位は、肺がんの抗がん剤治療です。包括支払制度(DPC)では、抗がん剤の種類により点数が6種類に分かれています。がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで治療が行われます。

3位は肺がんの保存的治療となっております。

消化器内科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数(自院)
平均
在院日数(全国)
転院率 平均
年齢
患者用
パス
060100xx01xxxx 小腸大腸の良性疾患(良性腫瘍を含む。)
内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術
185 2.2 2.65 1.1 67.6
060340xx03x00x 胆管(肝内外)結石、胆管炎 限局性腹腔膿瘍手術等
手術・処置等2なし 副傷病なし
46 6.4 9.21 4.4 75.9
060020xx04xxxx 胃の悪性腫瘍 内視鏡的胃、
十二指腸ポリープ・粘膜切除術
21 5.7 7.96 0.0 73.1
060350xx99x00x 急性膵炎 手術なし 手術・処置等2なし
副傷病なし
12 10.3 10.64 0.0 65.6
060102xx99xxxx 穿孔又は膿瘍を伴わない憩室性疾患
手術なし
11 7.1 7.70 9.1 61.6

消化器内科で最も多かった疾患は大腸ポリープに対し、内視鏡的切除を行ったものとなっております。大腸ポリープとは、大腸粘膜の一部がイボ状に盛り上がり隆起した形状を表す総称のことで、良性や悪性のものがあります。ポリープは大きくなるほど癌の割合が増加します。ポリープの形をした大腸癌は早期癌のことが多いので、小さいうちに検査で発見し、治療することが必要です。

2位は胆管炎です。その中でも総胆管結石を有する方が多く、内視鏡的乳頭切開術(EST)という手術を施行し結石を除去します。

3位は早期胃がんに対し内視鏡的切除を行ったものです。

4位は急性膵炎です。(慢性膵炎の急性増悪も含む)

急性膵炎の原因のうち、最も多くみられるものは飲酒(アルコール性の急性膵炎)です。次いで、十二指腸乳頭に胆石が詰まっておこる胆石性膵炎、原因不明の膵炎が多いとされています。

5位は大腸憩室炎です。憩室とは大腸の壁にできる袋状のへこみで、風船のような形をしています。憩室ができている状態を憩室症と呼びます。憩室症は通常、痛みはなく、危険なものでもありませんが便秘や、細菌の感染などによって炎症がおこると、憩室炎になり、痛みがあらわれます。症状が軽い場合は、安静にすることで回復に努めます。細菌性の炎症であれば、抗菌薬を飲んで治療します。症状が重い場合は、手術が必要になることもあります。

循環器内科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数(自院)
平均
在院日数(全国)
転院率 平均
年齢
患者用
パス
050210xx97000x 徐脈性不整脈 手術あり
手術・処置等1-なし、1,3あり
手術・処置等2なし 副傷病なし
78 8.3 10.24 11.5 81.8
050050xx9910xx 狭心症、慢性虚血性心疾患 手術なし
手術・処置等1-1あり
手術・処置等2なし
71 3.1 3.06 1.4 70.0
050050xx0200xx 狭心症、慢性虚血性心疾患 経皮的冠動脈形成術等
手術・処置等1-なし、1,2あり
手術・処置等2なし
67 5.3 4.36 6.0 73.1
050130xx9900xx 心不全 手術なし 手術・処置等1なし
手術・処置等2なし
61 17.4 17.35 23.0 82.2
050030xx97000x 急性心筋梗塞(続発性合併症を含む。)、
再発性心筋梗塞 その他の手術あり
手術・処置等1-なし、1あり
手術・処置等2なし 副傷病なし
59 14.7 11.87 15.3 72.0

最も多いのは徐脈性不整脈に対するペースメーカー植え込み術(交換も含む)となっております。

正常な心拍数は、1分間に60~100回です。1分間の心拍数が60回未満になった場合を徐脈性不整脈と呼びます。結節からの電気信号の発生回数が低下したり(洞性徐脈、洞停止、洞房ブロック)、電気信号がうまく心室まで伝わらないこと(房室ブロック)で生じます。 そのままだと、心臓の拍動は止まってしまいます。

ペースメーカー植え込み術は洞徐脈性不整脈に対する治療として心筋に電気刺激を与えることで、心収縮を発生させる医療機器を植え込む手術です。ペースメーカは電池で作動している為、電池が少なくなると本体を交換する必要があります。

2,3位は虚血性心疾患に対する心臓カテーテル検査となっております。

※虚血性心疾患とは、「心筋梗塞」や「狭心症」の総称のことで、「虚血」とは「血がない状態」を意味します。つまり心臓に十分血がいきわたっていない状態が「虚血性心疾患」です。心臓の筋肉(心筋)に血液を送り、酸素と栄養素を供給する冠動脈が、動脈硬化等で狭くなったり、血管がけいれんを起こしたりすることで、血液が十分に心筋にいきわたらなくなったとき、心臓は酸欠(虚血)状態となり、胸痛等の症状としてあらわれます。

心臓カテーテル検査とは、手足の動脈からカテーテルと呼ばれる細い管を心臓の血管の入り口まで送り込み、カテーテルの先端より造影剤を注入して、心臓を栄養している血管(冠状動脈)の、細くなったり、詰まったりしている部分を写し出す方法です。現在、虚血性心疾患の診断を確実に正確に行う為には、欠かせない検査となっております。

4位は心不全です。心不全とは、心臓のはたらきが悪くなることで、心臓から血液を全身に十分に送り出せない状態になることです。

5位は急性心筋梗塞に対する心臓カテーテル治療となっております。心臓カテーテル治療は、血管カテーテルを用いて、詰まった冠状動脈を拡張し、狭窄や閉塞を解除する治療です。当院は患者さんに負担のない心血管カテーテル治療を得意としております。

血液内科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均
年齢
患者用
パス
130030xx99x4xx 非ホジキンリンパ腫 手術なし
手術・処置等2-4あり
37 8.0 10.66 0.0 79.8
130030xx99x3xx 非ホジキンリンパ腫 手術なし
手術・処置等2-3あり
24 11.8 15.64 8.3 71.8
130030xx97x3xx 非ホジキンリンパ腫 手術あり
手術・処置等2-3あり
14 28.2 29.03 21.4 68.1
130030xx97x40x 非ホジキンリンパ腫 手術あり
手術・処置等2-4あり 副傷病なし
- - - - -
130030xx99x0xx 非ホジキンリンパ腫 手術なし
手術・処置等2なし
- - - - -

1~5位まで同じ疾患で非ホジキンリンパ腫となっております。

悪性リンパ腫の中には、ホジキンリンパ腫(ホジキン病)と非ホジキンリンパ腫があります。日本人の悪性リンパ腫では、ホジキンリンパ腫は約10%と少なく、大半が非ホジキンリンパ腫です。

当院で最も多かった症例はリツキサンによる抗がん剤治療を行ったものとなっております。

※リツキサン:リツキシマブはBリンパ球ががん化して起こるB細胞性非ホジキンリンパ腫に高い効果を持つ抗体製剤です。

3位と4位は「手術あり」となっております。この手術については下欄「診療科別主要手術別患者数等」の血液内科の「K6113」をご参照ください。

また2位と3位はリツキサン以外の薬剤による抗がん剤治療を行っております。このように包括支払制度(DPC)では、抗がん剤の種類、手術のあり、なしによって点数が分かれています。

5位は保存的治療です。

小児科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均
年齢
患者用
パス
040090xxxxxx0x 急性気管支炎、急性細気管支炎、
下気道感染症(その他) 副傷病なし
25 5.6 5.83 0.0 0.5
030240xx99xxxx 扁桃周囲膿瘍、急性扁桃炎、急性咽頭喉頭炎
手術なし
12 4.7 5.71 0.0 1.7
030270xxxxxxxx 上気道炎 12 4.8 4.78 0.0 1.5
060380xxxxx00x ウイルス性腸炎
手術・処置等2なし 副傷病なし
10 3.8 5.53 0.0 3.6
140010x199x0xx 妊娠期間短縮、低出産体重に関連する障害
(出生時体重2500g以上)
手術なし 手術・処置等2なし
- - - - -

1~3位は呼吸器疾患となっております。

最も多いのが急性気管支炎、次に扁桃炎、上気道炎(感冒)の順になっており、平均年齢は1~2歳となっております。4位はノロウイルスやロタウイルス、アデノウイルスなどのウイルスによる胃腸炎となっております。

5位は新生児黄疸や新生児低血糖、感染症などの新生児期における疾患です。当院で出生した新生児に対しては、産婦人科と連携をとり、治療が必要な場合は小児科にて入院管理を行っております。

外科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均
年齢
患者用
パス
060100xx01xxxx 小腸大腸の良性疾患(良性腫瘍を含む。)
内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術
94 2.0 2.65 0.0 69.9
060160x001xxxx 鼠径ヘルニア(15歳以上)
ヘルニア手術 鼠径ヘルニア等
69 4.5 4.74 1.5 69.9
060330xx02xxxx 胆嚢疾患(胆嚢結石など)
腹腔鏡下胆嚢摘出術等
40 5.6 6.25 0.0 61.3
060210xx99000x ヘルニアの記載のない腸閉塞
手術なし 手術・処置等1なし
手術・処置等2なし 副傷病なし
39 8.1 9.00 5.1 72.3
060050xx97x0xx 肝・肝内胆管の悪性腫瘍(続発性を含む。)
その他の手術あり 手術・処置等2なし
33 10.3 10.48 0.0 77.2

外科で最も多かった疾患は大腸ポリープに対し、内視鏡的切除を行ったものとなっております。大腸ポリープとは、大腸粘膜の一部がイボ状に盛り上がり隆起した形状を表す総称のことで、良性や悪性のものがあります。ポリープは大きくなるほどがんの割合が増加します。ポリープの形をした大腸がんは早期がんのことが多いので、小さいうちに検査で発見し、治療することが必要です。

2位は鼠径ヘルニアに対する「腹腔鏡下手術」と「開腹手術」となっております。※腹腔鏡手術とは「腹腔鏡」というテレビカメラでお腹の中を見ながら行う手術のことです。従来の「おなかを切る手術」は開腹術と呼びますが、腹腔鏡手術は開腹術と比べて非常に小さな傷で済むために患者さんの術後の痛みが少ないことと、それにより回復が早いことが一番の長所です。

3位は胆のう結石症や胆のう炎などに対して行われる「腹腔鏡下胆嚢摘出術」となっております。

4位はイレウス(腸閉塞)となっております。

5位は肝細胞がんに対して行われる「肝動脈化学塞栓療法」です。がんに栄養を運んでいる血管を人工的にふさいで、がんを“兵糧攻め”にする治療法です。血管造影に用いたカテーテルの先端を肝動脈まで進め、抗がん剤と、肝細胞がんに取り込まれやすい造影剤を混ぜて注入し、その後に塞栓物質を注入する治療法です。肝動脈を詰まらせることでがんへの血流を減らし、抗がん剤によりがん細胞の増殖を抑えます。

整形外科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均
年齢
患者用
パス
160800xx01xxxx 股関節・大腿近位の骨折 人工骨頭挿入術
肩、股等
164 19.7 25.32 91.5 84.6
070230xx01xxxx 膝関節症(変形性を含む。) 人工関節再置換術等 59 23.0 23.02 25.4 76.7
160760xx97xx0x 前腕の骨折 手術あり 副傷病なし 56 6.1 4.99 10.7 51.4
07040xxx01xxxx 股関節骨頭壊死、股関節症(変形性を含む。)
人工関節再置換術等
39 23.8 20.63 23.1 71.9
160740xx01xx0x 肘関節周辺の骨折・脱臼 骨折観血的手術
肩甲骨、上腕、大腿等 副傷病なし
25 6.0 5.74 12.0 33.0

最も多いのが大腿骨頚部骨折です。 大腿骨頚部骨折は日常生活や予後に影響を及ぼすことが多く、全身状態に問題がなければ、できる限り早期に手術を行い、術後は早期のリハビリ開始が必要となります。当院では大腿骨骨折の患者さんの9割は手術を行い、早期のリハビリを開始しております。しかし、大腿骨頚部骨折の治療は一つの病院のみで手術からリハビリまで行うと高齢者の方では2か月程度の入院となることが多く、急性期病院では入院ベッドが埋まり、多くの患者さんへ手術ができなくなります。 このため、急性期病院では手術治療を中心に行い、回復期病院ではリハビリを行うという各々の専門性を生かした治療がされるようになっています。 当院では約1か月入院治療をしていただき、各患者さんの状態によりリハビリ専門の病院に転院していただいているため、転院率は約91%と高くなっております。

2位は変形性膝関節症となっております。高齢者の方に多い疾患で、人工関節による手術を行い、早期のリハビリを開始しております。こちらの疾患については、手術後は自宅で生活できるように当院でリハビリを行い、退院後は外来通院となります。そのため、転院率は25%と大腿骨頚部骨折に比べると低くなっております。

3位は前腕骨折です。骨をつなぐ手術となっております。

4位は変形性股関症や形成不全性股関節症に対し、人工関節を置換する手術です。

5位は上腕骨折です。骨をつなぐ手術となっております。小児の患者さんが半数を占めており、そのため平均年齢が33歳と低くなっております。

泌尿器科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均
年齢
患者用
パス
110080xx991xxx 前立腺の悪性腫瘍
手術なし 手術・処置等1あり
92 2.2 2.50 0.0 71.9
11012xxx020x0x 上部尿路疾患 経尿道的尿路結石除去術
手術・処置等1なし 副傷病なし
41 7.1 5.56 2.4 62.7
110070xx03x20x 膀胱腫瘍 膀胱悪性腫瘍手術
経尿道的手術
手術・処置等2-2あり 副傷病なし
33 6.5 6.86 0.0 73.5
11012xxx97xx0x 上部尿路疾患 その他の手術あり
副傷病なし
20 6.9 7.16 15.0 51.9
110070xx03x0xx 膀胱腫瘍 膀胱悪性腫瘍手術
経尿道的手術
手術・処置等2なし
20 6.8 7.02 5.0 77.7

最も多い疾患は前立腺がんの確定診断のための生検を行うものとなっております。生検とは身体の組織の一部を切り取って調べる検査です。 生検はさまざまな病気の確定診断のために行われます。 前立腺生検では前立腺に針を刺して組織を取り出します。 針を刺す方法には直腸から針を刺す方法(経直腸式前立腺生検)と肛門の近くの皮膚から針を刺す方法(経会陰式前立腺生検)の2つがあります。当院では前者の方法で行っています。

2位は尿管結石や腎結石などに対して経尿道的結石破砕術(TUL)を行うものです。

3位と5位は膀胱がんに対して経尿道的膀胱腫瘍切除術(TUR-BT)を行うものです。TUR-BTは、下半身麻酔(腰椎麻酔)を行い、切除用の膀胱鏡を尿道の出口から膀胱内に挿入し、モニターでがんの場所を確認しながら高周波電気メスで病変を切除する方法です。TUR-BTの目的は、①膀胱内のがんを取り除く、②切除した病変を顕微鏡でみる病理検査で詳しく調べ、がんかどうか、がんであればその広がり方、タイプ、悪性度を確定診断することです。TUR-BTは検査と治療を兼ねています。生検の結果、表在性がんか上皮内がんであることがわかれば、開腹手術で膀胱を取り除く必要はなく、TUR-BTだけで外科的な治療は完了します。ただ、病理検査の結果、さらに念入りに切除する必要があると判断されたときには、再度TUR-BTが実施されることもあります。

3位の方の症例は、TUR-BTの手術後にエピルビシンといった抗がん剤を膀胱内に注入する治療を併せて行うものです。これは、手術では取り除けなかった細かい腫瘍組織の壊死や腫瘍の増加の抑制を図る目的です。 また、表在する腫瘍は再発する可能性が比較的高く、抗がん剤を膀胱内へ注入することで予防することも目的としています。

4位は2位と同じく尿路結石などの疾患となりますが、こちらは結石の除去術以外の手術を行うものとなります。手術としては主に経尿道的尿管ステント留置術を行っております。尿管ステントとは体内の尿路(おしっこの通り道)に入れる管(チューブ)のことです。ステントを留置することで、おしっこの通過障害などの深刻な合併症のリスクを低減します。また、発熱などの尿道感染や結石の痛みを取る際にも使用されます。

産婦人科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均
年齢
患者用
パス
120200xx99xxxx 妊娠中の糖尿病 手術なし 22 5.0 5.37 0.0 34.6
120060xx01xxxx 子宮の良性腫瘍 子宮全摘術等 18 11.3 9.46 0.0 48.5
120180xx01xxxx 胎児及び胎児付属物の異常 子宮全摘術等 18 9.3 9.39 0.0 33.8
140010x199x0xx 妊娠期間短縮、低出産体重に関連する障害
(出生時体重2500g以上)
手術なし 手術・処置等2なし
14 5.9 6.13 7.1 0.0
12002xxx02x0xx 子宮頸・体部の悪性腫瘍
子宮頸部(腟部)切除術等
手術・処置等2なし
- - - - -

最も多いのは妊娠糖尿病となっております。妊娠糖尿病とは、妊娠前に糖尿病の診断を受けていない女性で、妊娠中に血糖値が高くなり、妊娠して初めて血糖値が高い状態が発見された場合に診断される病気です。妊娠糖尿病になると、様々な合併症が起こるリスクや、将来的に糖尿病になる可能性が高まるため、早期発見と適切な対処をする必要があります。

2位は子宮筋腫に対して行われる「子宮全摘術」です。

3位は、前回帝王切開で出産した既往のある方や骨盤位(さかご)など胎位の異常のある方、また巨大児などに対して帝王切開術を行ったものとなっております。

4位は出生後の児の異常によるもので、多くは帝王切開児の入院になります。経腟分娩児にはみられない帝切児に特有な症候(呼吸障害,貧血,脳波の異常,水分代謝の異常、体重推移の異常など)を呈することがあり、当院にて帝王切開で出生した児については入院管理を行っております。

5位は早期の子宮頸がん(高度異形成、0期~1期)に対して摘出術を行ったものとなっております。早期なので子宮をすべて切除する手術(全摘出)ではなく、円錐切除術(えんすいせつじょじゅつ)といわれる手術を行います。この手術は子宮膣部(膣腔に面した子宮頸部)を円錐状に切り取る手術です。入院期間は手術前後で3日程度です。

悪性疾患については、子宮頸部上皮内がんの手術は行っていますが、進行がんの手術は熊本市内の拠点病院にお願いしています。術後の化学療法は当院で行うことが可能です。また、放射線科と連携し放射線治療を行っています。

脳神経外科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均
年齢
患者用
パス
010060x2990401 脳梗塞(脳卒中発症3日目以内、かつ、JCS10未満)
手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等2-4あり
副傷病なし 発症前Rankin Scale 0、1又は2
44 11.1 15.63 47.7 73.4
160100xx97x00x 頭蓋・頭蓋内損傷 その他の手術あり
手術・処置等2なし 副傷病なし
43 7.2 9.78 39.5 80.6
010060x2990201 脳梗塞(脳卒中発症3日目以内、かつ、JCS10未満)
手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等2-2あり
副傷病なし 発症前Rankin Scale 0、1又は2
35 10.8 15.57 42.9 73.4
010040x099000x 非外傷性頭蓋内血腫
(非外傷性硬膜下血腫以外)(JCS10未満)
手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし
副傷病なし
34 12.8 18.90 70.6 73.3
010230xx99x00x てんかん
手術なし 手術・処置等2なし 副傷病なし
24 6.2 7.22 20.8 66.8

最も多い疾患は、意識障害のない「脳梗塞」で、エダラボンという薬剤による脳保護療法を行うものとなっております。 脳梗塞になると、障害された脳細胞や血管から、フリーラジカル(活性酸素)が発生します。脳梗塞の脳内では、このフリーラジカルがさらに脳細胞を破壊し、別の血栓を作るとされています。それを予防するためエダラボンという薬剤で脳保護療法を行います。

2位は「外傷性慢性硬膜下血腫」に対して手術を行うものとなっております。慢性硬膜下血腫とは、頭部外傷後慢性期(3週間~数カ月以内)に頭部の頭蓋骨の下にある脳を覆っている硬膜と脳との隙間に血(血腫)が貯まる病気で、血腫が脳を圧迫して様々な症状がみられます。その血腫を取るため局所麻酔下で手術を行います。慢性の血腫はさらさらした液状のため、大きく頭蓋骨を開けなくても小さな孔(穴)から取り除けるので、穿頭血腫除去術あるいは穿頭血腫ドレナージ術が行われ、患者さんの負担もほとんどありません。当院は平均7日間の入院となります。

3位は1位と同様の意識障害のない「脳梗塞」で、エダラボンという薬剤を使用せず治療します。腎機能が悪い方はエダラボンという薬剤は禁忌となっているため、同じ疾患でも治療法が分かれております。当院の「脳梗塞」と「脳出血」の平均在院日数は全国平均と比較し短く、転院率も高めとなっておりますが、当院は急性期治療を中心に行い、急性期治療が終了しましたら、各患者さんの状態によりリハビリ専門の病院に転院していただいているため、転院率が高くなっております。

4位は意識障害のない「脳出血」の保存的治療となっております。

5位はてんかんの保存的治療となっております

眼科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均
年齢
患者用
パス
020110xx97xxx0 白内障、水晶体の疾患
手術あり 片眼
90 2.0 2.71 0.0 76.7
020250xx97xxxx 結膜の障害 手術あり - - - - -
020280xx97xxxx 角膜の障害 手術あり - - - - -
- - - - - - -
- - - - - - -

最も多い症例は白内障に対して行われる水晶体再建術(眼内レンズを挿入)です。 片目で1泊2日の入院となっております。

2位は翼状片に対する手術、3位は角膜潰瘍の保存的治療となっております。

総合病院である利点を生かし、他の診療科との連携により全身疾患との関連も含め、診療を行っております。

初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数ファイルをダウンロード

初発 再発 病期分類
基準(※)
版数
Stage I Stage II Stage III Stage IV 不明
胃癌 42 - - - - - 1 8
大腸癌 19 12 24 29 - 11 1 8
乳癌 15 14 - - - - 1 8
肺癌 18 - 52 103 - 14 1 8
肝癌 10 - - - - 25 1 8

※1:UICC TNM分類,2:癌取扱い規約

現在、日本で最も罹患率の高い5つのがん(肺・胃・肝・大腸・乳)の病期分類(ステージ)と再発の症例数を集計したものです。

※病期(ステージ)とはがんの進行を表しています。当院では、大腸がんが最も多く、次いで肺がん、乳がん、胃がん、肝がんとなっています。ステージ別で見てみますと、胃がんはステージⅠが最多となっており、早期の患者さんが多いことがわかります。 手術では内視鏡的な切除と腹腔鏡下での手術を行っております。 進行したがん(ステージ4)では肺がんが最多となっており、再発症例では肝がんが最多となっております。

5大がんに次いで、血液のがんや泌尿器系のがんも上位を占めております。

当院は、「地域がん診療連携拠点病院」として、幅広いがんを積極的に診療しており、手術だけでなく、抗がん剤治療や放射線治療も行っています。PET-CTも導入しており、がんの再発や転移の診断に大きく役立てています。 また、緩和ケアにも積極的に取り組んでいます。緩和ケア病棟は現在30床が稼働しており、がんに伴う身体的・精神的な苦痛を緩和するための治療および、ケアを提供しており、症状コントロールや在宅緩和ケアの支援も行っております。

成人市中肺炎の重症度別患者数等ファイルをダウンロード

患者数 平均
在院
日数
平均
年齢
軽症 22 14.6 66.2
中等症 36 21.2 86.5
重症 72 16.5 79.9
超重症 18 17.7 85.7
不明 - - -

成人(20歳以上)の肺炎患者さんについて重症度別に患者数、平均在院日数、平均年齢を集計したものです。※市中肺炎とは普段の社会生活の中で罹患した肺炎です。 ※重症度は市中肺炎ガイドラインによる重症度分類システム(A-DROP)による分類スコアで、0は軽症であり、外来治療となります。 スコア1~2は中等症であり、外来治療か入院治療のどちらかになります。 スコア3は重症であり、入院治療となります。 スコア4~5は超重症であり、入院してICUで治療します。 外来で治療を行うか入院で治療を行うかはA-DROPを用いてこのように判断されています。 肺炎は罹患率が高い上、死亡率も高く、悪性新生物、心疾患についで国内の死亡原因の上位に位置する疾患です。 当院の肺炎治療は呼吸器専門の医師を始め、他の診療科の医師とも連携し診療を行っております。 通常軽症の場合は外来での治療が基本となりますが、高齢者の方など外来治療が困難な方は入院治療を行っております。

脳梗塞の患者数等ファイルをダウンロード

発症日から 患者数 平均
在院日数
平均
年齢
転院率
- 203 13.8 77.55 63.55

脳梗塞の患者さんについて、患者数、平均在院日数、平均年齢、転院率を集計したものです。

脳梗塞を発症される方は高齢化に伴い増加傾向にあります。近年、脳血管疾患治療技術の発達により死亡率は低下傾向にありますが、その一方でご家族等の介護を必要とする様々な後遺症が残ることの多い疾患でもあります。 軽症では早期に治療やリハビリテーションを行うことが効果的とされています。 当院では中軽症の場合、約2週間ほど急性期治療(薬物療法、早期リハビリテーション)を行い、各患者さんの状態に応じてリハビリテーションが必要な場合は回復期専門の病院に転院していただいております。

※全ての患者さんがリハビリが必要ではなく軽症や意識障害のある患者さんはリハビリを実施しない、もしくは状態が安定してからの開始となることもあります。

診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード

循環器内科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均
年齢
患者用
パス
K5493 経皮的冠動脈ステント留置術(その他) 72 3.8 4.5 9.7 72.7
K5972 ペースメーカー移植術(経静脈電極) 36 1.9 6.8 16.7 80.8
K597-2 ペースメーカー交換術 36 1.4 4.7 5.6 82.1
K5461 経皮的冠動脈形成術(急性心筋梗塞) 31 0.0 15.7 16.1 71.8
K616 四肢の血管拡張術・血栓除去術 25 1.3 5.5 8.0 77.2

1位と4位は「虚血性心疾患」に対する心臓カテーテル治療となっております。当院は24時間循環器内科専門医が対応できる体制を整えており、急性心筋梗塞や狭心症などの虚血性心疾患に対する心臓カテーテル治療の症例が多くなっています。 「急性心筋梗塞」に対して行われる心臓カテーテル治療後は、心臓リハビリテーションを実施し、患者さん一人一人の状況に応じて、運動を含めた生活習慣の見直しと改善を図り、病気に対する正しい知識を身につけていただいております。

(※虚血性心疾患、心臓カテーテル治療についての説明は、上記の「診断群分類別患者数等」の循環器内科をご参照ください。)2位はペースメーカー移植術で 基本的には完全房室ブロックや洞不全症候群といった脈拍の遅い病気に対する治療となります。ペースメーカーは、発振器(電池と電気回路を組み合わせたもの)とこれに接続した細い電線(リード線)で構成されたものです。電線の先を心臓に取り付けて発振器と電線を接続すると、発振器から一定のリズムで心臓に電気刺激が伝わり、心臓が拍動する仕組みになっています。多く行われている方法として、左あるいは右の鎖骨の下の胸部に部分麻酔(局所麻酔)を施して手術を行います。部分麻酔で行う手術ですので手術後はすぐに歩行も食事もできます。

3位はペースメーカーの交換術となっております。ペースメーカーの電池の寿命は、病気の状態やペースメーカーの種類により異なりますが、大体5~10年ぐらいです。電池の寿命がくれば交換が必要となります。

5位は、「閉塞性動脈硬化症」に対する末梢動脈疾患のカテーテル治療です。 閉塞性動脈硬化症は、足の血管の動脈硬化により、血管が狭くなったり(狭窄)、詰まったり(閉塞)する病気です。足への血流が悪くなることで、足に栄養や酸素を十分に送ることができなくなるため、様々な障害が現れます。 末梢動脈疾患のカテーテル治療は、血管の狭い部分もしくは詰まっている部分にワイヤーを通して、風船やステント(金属チューブ)等を使用して元々の動脈を広げる手術で、造影剤を使用して血管を造影しながら治療を行います。 局所麻酔による穿刺のみで、体に切開を入れないため、体への負担が小さいというメリットがあります。

外科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K7211 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術(長径2cm未満) 84 0.0 1.0 0.0 69.9
K672-2 腹腔鏡下胆嚢摘出術 63 0.9 3.9 0.0 63.0
K634 腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術(両側) 61 1.1 2.4 1.6 69.2
K719-3 腹腔鏡下結腸悪性腫瘍切除術 38 1.9 10.7 7.9 72.2
K6152 血管塞栓術(頭部、胸腔、腹腔内血管等)(選択的動脈化学塞栓術) 24 1.0 6.9 0.0 78.6

最も多い症例は「内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術」で、切除した大きさが2cm未満のものです。大腸ポリープや早期大腸がんを内視鏡的に切除する術式で、1泊2日の入院となります。

2位は「腹腔鏡下胆嚢摘出術」で胆のう結石症や胆のう炎などに対して全身麻酔で行うもので、入院期間は約6日となります。

※腹腔鏡手術とは「腹腔鏡」というテレビカメラでお腹の中を見ながら行う手術のことです。従来の「おなかを切る手術」は開腹術と呼びますが、腹腔鏡手術は開腹術と比べて非常に小さな創で済むために患者さんの術後の痛みが少ないことと、それにより回復が早いことが一番の長所です。

3位は鼠径ヘルニアに対して行う手術で「腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術」になります。入院期間は約4日となります。

4位は大腸がんに対して行われる「腹腔鏡下結腸悪性腫瘍切除術」です。

5位は肝動脈化学塞栓術(TACE)で肝がんに対して行う血管カテーテル治療です。肝がんは、進行すると肝動脈の血流が豊富になり、腫瘍への栄養を供給するようになります。足の付け根の動脈からカテーテルを挿入し、肝臓内の腫瘍を栄養する細い動脈までカテーテルを進めます。そこで抗がん剤などを入れ、動脈の血流を遮断し、腫瘍細胞を壊死させる方法になります。

上位には上がっていませんが、地域がん診療連携拠点病院として消化器系のがん、肺・乳・甲状腺がんなどの手術も施行しております。

整形外科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均
年齢
患者用
パス
K0461 骨折観血的手術(大腿) 121 1.7 15.5 87.6 84.0
K0821 人工関節置換術(膝) 104 1.1 21.3 24.0 74.7
K0811 人工骨頭挿入術(股) 58 2.3 16.1 84.5 83.1
K0462 骨折観血的手術(前腕) 47 2.3 7.0 21.3 67.3
K0483 骨内異物(挿入物を含む)除去術(前腕) 38 6.9 1.5 0.0 46.3

最も多いのは大腿骨頚部骨折に対して行われる、骨接合術(骨をつなぐ手術)です。 大腿骨頚部骨折は日常生活や予後に影響を及ぼすことが多く、全身状態に問題がなければできる限り早期に手術を行い、術後は早期のリハビリ開始が必要となります。当院は大腿骨骨折の患者さんの9割以上は手術を行い、早期のリハビリを開始しております。しかし、大腿骨頚部骨折の治療は一つの病院のみで手術からリハビリまで行うと高齢者の方では2か月程度の入院となることが多く、急性期病院では入院ベッドが埋まり、多くの患者さんへ手術ができなくなります。 このため、急性期病院では手術治療を中心に行い、回復期病院ではリハビリを行うという各々の専門性を生かした治療がされるようになっています。 当院では約20日程入院治療をしていただき、各患者さんの状態によりリハビリ専門の病院に転院していただいているため、転院率は約87%と高くなっております。

2位は、変形性膝関節症で、変形した膝の関節を人工の関節に置き換える手術です。 こちらの疾患については、手術後は自宅で生活できるように当院の方でリハビリを行い、退院後は外来通院となります。

3位は、大腿骨頚部骨折に対して行われる人工骨頭置換術(折れている骨(骨頭)を取りのぞいて人工物でできた骨頭に置き換える手術)です。 転院率は1位と同じ病気のため約84%と高くなっております。 ※大腿骨頚部骨折には、骨接合術と人工骨頭置換術があります。 骨折の型、患者さんの年齢や全身の状態を考えて、手術の方法を選びます。

4位は橈骨・尺骨(前腕)の骨折に対して行われる、骨接合術(骨をつなぐ手術)です。 術後は約11~14日で退院となります。5位は前腕の骨接合術に対する「抜釘術」で、プレートやボルトを使って骨接合術を行ったあと、骨の癒合後にそのプレートやボルトを除去する手術となります。

泌尿器科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均
年齢
患者用
パス
K8036イ 膀胱悪性腫瘍手術(経尿道的手術)(電解質溶液利用) 53 1.1 4.5 1.9 75.1
K783-2 経尿道的尿管ステント留置術 48 6.4 8.2 18.8 61.9
K7811 経尿道的尿路結石除去術(レーザー) 39 1.3 5.1 2.6 62.2
K8411 経尿道的前立腺手術(電解質溶液利用) 10 1.0 6.3 0.0 73.5
K843 前立腺悪性腫瘍手術 10 1.0 11.1 0.0 66.8

1・2・3位の手術治療についての説明は、上記の「診断群分類別患者数等」の泌尿器科を下記の順位をご参照ください。

1位は、「3位」をご参照ください。

2位は、「4位」をご参照ください。

3位は、「2位」をご参照ください。

4位の「経尿道的前立腺手術(電解質溶液利用)」は、ループ状の電気メスを装着した内視鏡を尿道内に挿入し、患部をテレビモニターで見ながら、肥大した前立腺組織(腺腫)を尿道粘膜とともに切り取る手術です。下半身または全身麻酔で行います。

5位の「前立腺悪性腫瘍手術」は、前立腺がんに対する根治治療として前立腺を摘出する手術です。仰向けで行う開腹手術です。全身麻酔と硬膜外麻酔で行います。結果によっては術後の補助療法(放射線治療や薬物療法)が必要になることがあります。

産婦人科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K877 子宮全摘術 27 1.0 9.3 7.4 52.0
K8982 帝王切開術(選択帝王切開) 19 4.1 7.3 0.0 34.3
K872-31 子宮内膜ポリープ切除術(電解質溶液利用) 10 0.0 1.0 0.0 52.3
K8981 帝王切開術(緊急帝王切開) 10 7.9 7.5 0.0 32.1
K867 子宮頸部(腟部)切除術 - - - - -

最も多い手術は「子宮全摘術」です。子宮筋腫や子宮内膜症、また子宮体がん子宮頸がんなどに対して行われます。

2位は予定された「帝王切開術」です。

3位は「子宮内膜ポリープ切除術」です。頚管にダイラパンという棒状の器具を挿入し、頚管拡張を行います。麻酔下に子宮鏡で子宮内腔を観察後に、子宮頚管をさらに拡張し、子宮内腔を子宮鏡で確認したうえで、子宮内膜を掻爬します。麻酔は静脈麻酔で行いますが、状態によっては下半身麻酔で行います。

4位は緊急に行われる「帝王切開術」です。

5位は「子宮頸部(腟部)切除術」で円錐切除術ともいいます。通常、子宮頚部の前がん病変ないしは頸がん初期病変に対し行われる手術です。下半身に麻酔をかけ、お腹を切ることなく、子宮頸部のみを円錐状に切除します。子宮の大部分が温存され、手術後に妊娠することも可能です。

脳神経外科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均
年齢
患者用
パス
K164-2 慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術 46 0.9 5.7 37.0 79.2
K1771 脳動脈瘤頸部クリッピング(1箇所) 21 0.9 18.5 38.1 64.1
K1692 頭蓋内腫瘍摘出術(その他) 12 2.8 11.8 0.0 63.0
K1643 頭蓋内血腫除去術(開頭)(脳内) 10 1.4 16.9 70.0 66.4
- - - - - - -

最も多いのは、「外傷性慢性硬膜下血腫」に対して行う手術となっております。慢性硬膜下血腫とは、頭部外傷後慢性期(3週間~数カ月以内)に頭部の頭蓋骨の下にある脳を覆っている硬膜と脳との隙間に血(血腫)が貯まる病気で、血腫が脳を圧迫して様々な症状がみられます。その血腫を取るため局所麻酔下で手術を行います。慢性の血腫はさらさらした液状のため、大きく頭蓋骨を開けなくても小さな孔(穴)から取り除けるので、穿頭血腫除去術あるいは穿頭血腫ドレナージ術が行われ患者さんの負担もほとんどありません。当院は平均6日間の入院となります。

2位は、「くも膜下出血」に対して行われる、開頭による脳動脈瘤クリッピング術です。 くも膜下出血は脳動脈瘤と言われる血管のふくらみがある日突然破裂することによって起こります。原因としてはこの脳動脈瘤破裂が殆ど(80〜90%)です。当院では開頭による動脈瘤クリッピング術を第一選択として行っています。クリッピング術は開頭により、出血を取り除きながら脳の自然のすき間をはがして動脈瘤を出し、金属製(チタン製のものが主流です)のクリップで閉鎖する方法です。 当院は搬入後の状態に応じ、緊急で血管造影検査、手術をスムーズに施行できる体制を整えています。

3位は、「脳腫瘍」に対して行われる開頭腫瘍摘出術です。脳腫瘍とは、頭蓋骨の中にできる腫瘍の総称で、各部位からさまざまな種類の腫瘍が発生します。脳を包んでいる膜から発生する髄膜種や、脳以外にできたがんが脳に転移した転移性脳腫瘍などがあります。症状としては、頭痛、めまい、てんかん、麻痺など、腫瘍の場所によって、さまざまな神経症状がおきます。腫瘍を摘出することで腫瘍周囲の脳や神経、血管などのこれ以上の障害・破壊を防止できる可能性や、圧排により障害されていた脳の働きが回復し、症状が良くなる可能性があります。

4位は、「脳出血」に対して行う手術となっております。血腫の量や状態によっては手術を行うことがあり、手術により脳幹への血腫による圧迫解除、機能予後の改善(後遺症の軽減)が期待されます。開頭術により、脳の中の血腫を除去し、活動的な出血が認められれば止血を行います。状況によって頭の骨を外した状態で集中治療室に戻ることもあります。

眼科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均
年齢
患者用
パス
K2821ロ 水晶体再建術(眼内レンズを挿入)(その他) 89 0.0 1.0 0.0 76.6
- - - - - - -
- - - - - - -
- - - - - - -
- - - - - - -

最も多い手術は白内障に対して行われる「水晶体再建術」で局所麻酔で行います。 この手術は、黒目(角膜)と白目(強膜)の間に2~3mmの切開を入れて行います。 水晶体は袋にくるまれているため、 その袋(前嚢)に丸く窓を開けていきます。そして袋を傷つけないようにして水晶体の中身(水晶体核)を超音波で砕きながら吸引していきます。その後、残した袋の中に水晶体の代わりとなるレンズ(眼内レンズ)をいれます。

血液内科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均
年齢
患者用
パス
K6113 抗悪性腫瘍剤静脈内持続注入用植込型カテーテル設置
(頭頸部その他)
24 12.7 22.0 8.3 71.5
- - - - - - -
- - - - - - -
- - - - - - -
- - - - - - -

最も多い手術は、CVポートというカテーテルを前胸部、上腕部などに埋め込む手術です。 CVポートとは中心静脈カテーテルの一種で、正式には皮下埋め込み型ポートといわれるものです。 皮膚の下に埋め込んで薬剤を投与するために使用し、主に抗がん剤の治療を継続する患者さんに対して行われます。 抗がん剤の治療では、点滴の回数を重ねると末梢血管の確保が難しくなるうえ、刺激の強い抗がん剤では、静脈炎による疼痛のために継続できない場合があります。 そのため、より安全・確実に抗がん剤治療を行う方法としてCVポートが埋め込まれます。 埋め込みには小手術を必要とします。通常、局所麻酔(部分的な麻酔)で行います。手術時間は状態によって異なりますが、おおよそ30分~1時間程度で終了します。 CVポートは完全に体内に埋め込まれますので、外から見ると少し皮膚が盛り上がる程度で、大きく目立つことはありません。ポートから点滴をしていないときは、埋め込み前とかわらない普段どおりの生活を送ることができます。

その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)ファイルをダウンロード

DPC 傷病名 入院契機 症例数 発生率
130100 播種性血管内凝固症候群 同一 - -
異なる - -
180010 敗血症 同一 - -
異なる 13 0.2
180035 その他の真菌感染症 同一 - -
異なる - -
180040 手術・処置等の合併症 同一 31 0.6
異なる - -

この疾患は敗血症、播種性血管内凝固、真菌感染症、手術・術後の合併症について入院契機病名(入院のきっかけとなった傷病)の同一性の有無を区別して症例数と発生率を示したものです。

●播種性血管内凝固症候群は本来出血箇所のみで生じるべき血液凝固反応が、様々な重症の基礎疾患のために全身の血管内で無秩序に起こる症候群のことです。基礎疾患で入院治療中に病状が悪化して発症する場合が多くみられるため、早期診断と早期治療が求められます。

●敗血症とは、肺炎や腎盂腎炎など生体のある部分で感染症を起こしている場所から血液中に病原体が入り込み、重篤な全身症状を引き起こす症候群です。背景として悪性腫瘍、血液疾患、糖尿病、肝・腎疾患、膠原病といった基礎疾患がある場合、あるいは未熟児、高齢者、手術後といった状態である場合が多いとされています。

●真菌症とは、カビの一種です。一般に、免疫機能が正常であれば、真菌感染症が体の奥の器官まで広がることはありません。

●手術・処置等の合併症とは、手術や検査などの後、それらがもとになって起こることがある病気です。手術や検査の際のミスで起きた疾患とは別のものとなります。

更新履歴

2022/9/27