現在、日本人の2人に1人が一生の間にがんになるというデータがあり、がんは身近な病気です。熊本県でも4人に1人ががんで亡くなっており、特に子宮がんの死亡率が全国平均より高くなっています。がんの治療は、医療技術の進歩により、胃がん、大腸がん、乳がんなどは早期の発見により約9割の確率で治癒しており、がんは早期発見・早期治療が重要となっています。また、将来がんにかかるリスクが約半減するといわれている「日本人のためのがん予防法(5+1)」を実践することも、がん予防には大切です。
日本人のためのがん予防法(5+1)
禁 煙 | たばこは吸わない。他人のたばこの煙を避ける。 たばこを吸う人は吸わない人に比べて、何らかのがんになるリスクが約1.5倍高まる。 受動喫煙でも肺がんや乳がんのリスクは高まる。 |
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節 酒 | 飲むなら、節度ある飲酒をする。お酒を飲む場合はアルコール換算で1日あたり23g程度の量まで。 日本酒 :1合、ビール大瓶(633ml):1本、ワイン :グラス2杯 焼酎・泡盛 :原液で1合の2/3、ウィスキー :ダブル1杯 |
食生活 | 偏らずバランスよくとる。 ・塩蔵食品、食塩の摂取は最小限にする。 ・野菜や果物不足にならない。 ・飲食物を熱い状態でとらない。 1日あたりの食塩摂取量は男性7.5g未満、女性6.5g未満に。 |
身体活動 | 日常生活を活動的に。 歩行またはそれと同等以上の強度の身体活動を1日60分。 また、息がはずみ汗をかく程度の運動は1週間に60分。 |
適正体重 | 適切な範囲内に。 男性はBMI値21~27、女性は21~25の範囲になるよう管理。 |
感 染 | 肝炎ウイルス感染の有無を知り、感染している場合は治療を。 ピロリ菌感染の有無を知り、感染している場合は除菌を検討。 該当する年齢の人は、子宮頸がんワクチンの定期接種を受ける。 |
参考:科学的根拠に基づくがん予防(国立がん研究センターホームページ)
先日、国立がん研究センターが発表した、日本社会全体で抱えるがんの経済的負担額は約2兆8,600億円で、そのうち予防可能ながんによる負担額は約1兆240億円でした。予防可能ながんの中でも「感染」によるものが大きく、中でもヘリコバクター・ピロリ菌の感染による胃がんや、ヒトパピローマウイルス(HPV)による子宮頸(けい)がんなどの経済負担が大きいことがわかりました。
ピロリ菌の除去は胃がんの発症予防につながり、HPVワクチンの接種は感染に予防効果があり、2022年から積極的勧奨が再開されています。
当院でも、各種がん検診・ピロリ菌や肝炎ウイルスの検査・HPVワクチン接種を実施しておりますのでご活用ください。