診療の特色

 乳腺 

乳癌の治療は遺伝子情報などに基づいた個別化治療・precision medicineとなってきており家族性（遺伝性）乳癌のBRCA遺伝子診断や再発リスクのゲノム診断など保険適応となり診療が多様化しています。そのため多職種チームで、患者さん・ご家族・かかりつけ医と協働し診療を行っていますが、その中心となっているのは2名の乳がん看護認定看護師、がん化学療法看護認定看護師、がん薬物療法認定薬剤師などのスタッフで患者さんと顔の見える関係で患者さんに寄り添ったケアを行っています。

【診療のながれ】
①健診・診断：当院の予防医療センターでは超音波とマンモグラフィーを併用して非触知早期乳癌の発見を目指しています。ＭＲＩ等の画像診断で悪性が疑われる場合は超音波ガイド下針生検による組織検査を行っています。
②転移診断：乳癌の診断がついた場合はＰＥＴ-ＣＴ検査で転移の有無をチェックします。
③手術：転移が無い場合は乳房温存・乳房切除・乳房再建（熊本大学などへ紹介）などの手術を行いますが、鹿児島、熊本、福岡など他の施設を希望される場合は資料と供に紹介します。またRI、色素を併用したセンチネルリンパ節診断を術中に行っています。
④術前治療：癌が進行している場合、ER、PGR（ホルモンレセプター）、Her2、Mib-1などの結果も参考にして術前化学療法を行う場合もあります。（Her2陽性症例は術前治療を行うことが多く病理学的に癌の消失する場合も多く経験します。）
⑤術後放射線治療：乳房温存症例や腋下リンパ節転移症例に対しては放射線治療を行っています。
⑥術後化学療法：腋下リンパ節転移患者さんに対して3か月以上術後補助化学療法やホルモン療法を行います。
⑦術後フォローアップ：内服ホルモン治療や再発チェックなどは 連携パスを使用しかかりつけ医の先生と連携し10年間フォローアップしています。
⑧進行再発乳癌の治療：進行再発乳癌治療は抗がん剤、分子標的薬、ホルモン剤などの薬物療法がガイドラインに基づいて行われます。
⑨遺伝子診断：BRCA遺伝子診断、遺伝子パネル診断（オンコタイプDX 等）が保険適応となりこれらの検査も増えています。
⑩患者会・相談支援センター：当院では臓器別の患者会の活動を支援しています。MSW（ソーシャルワーカー）が担当し患者さんの悩みや問題の相談にも対応しています。

 甲状腺 

①甲状腺癌治手術も依然と比べ縮小化され、1㎝以下の微小癌は癌の部位によっては経過観察しています。
②甲状腺の治療後経過は長いため、当院での診療終了後のフォローは地域の先生方にお願いします。
③進行癌に対する治療：従来からある放射線ヨウ素治療は熊本大学に紹介して行っていただきます。そのほかの抗がん剤治療は当院で施行しますが、最近は甲状腺癌に対しても分子標的薬が保険適応となったため適応のある進行転移再発癌に対してソラフェニブ、レンバチニブ、そしてＲＥＴ遺伝子異常ある症例に対してセルペルカチニブなど最新の薬剤についても取り入れて行っています。  

スタッフ（医師）

藏重　淳二（副院長・外科診療部長・臨床研修センター長）

［専　　門］ 一般外科・消化器外科
［所属学会］日本外科学会（専門医・指導医）
日本消化器外科学会（専門医・指導医）
日本消化器病学会(専門医・指導医)
日本消化管学会（胃腸科専門医）
日本癌治療学会（がん治療認定医）
日本内視鏡外科学会
日本緩和医療学会
日本静脈経腸栄養学会
日本食道学会
日本大腸肛門病学会
日本胃癌学会

スタッフ（認定看護師）

がん化学療法認定看護師　矢立　雅章
皮膚・排泄ケア認定看護師　繁富　香、宮原　ひろみ
乳がん看護認定看護師　地下　奈緒、尾方　希久子