診療・各部門
診療の目標・特色
人吉・球磨地方を中心に、宮崎県、鹿児島県両県との県境における広範囲な地域の中核医療機関として、皆様の要求に応えられるよう正確で迅速な診断、最新かつ適切な医療の提供を目標に診療を行っております。
整形外科では運動器の疾患・外傷を治療の対象としています。すなわち骨、関節、筋肉、腱、靭帯、神経、椎間板、四肢の血管・皮膚などの障害及び外傷を取り扱います。
5 名の整形外科専任医師(日本整形外科学会専門医3名)が常勤しており、入院治療、手術的治療を主とした診療に従事しています。
地域の中核病院という特性から出来るだけ整形外科領域全般の治療ができるように努めておりますが、当科において特に得意とする専門領域は、骨折・軟部組織損傷などの外傷に対する手術的治療のほか、変形性関節症やリウマチ性関節症に対する人工膝関節・人工股関節置換術、発育性股関節形成不全に対する寛骨臼回転骨切り術、スポーツによる外傷・障害、骨や神経・筋・血管に生じる腫瘍、脊椎疾患などに対する治療です。特に、近年非常に増加傾向にある変形性膝関節症に対する人工膝関節置換術においては、県内でもまだ数施設しか導入されていない手術支援ナビゲーションシステムを用いて手術を行っています。人吉・球磨の全地域、及びえびの市、西米良村、伊佐市の医療機関からの手術依頼も多数受けております。また、熊本大学病院整形外科とも密接に連絡を取り、当院で対応できない稀な疾患に関しては、必要に応じて診療・治療や手術応援を依頼しています。
関節疾患(変形性関節症、スポーツ外傷)
膝関節の外傷・傷害(変形性疾患を含む)に関しては、比較的低侵襲な膝関節鏡を行うことでCT やMRI 検査での発見が困難な病変についても診断が可能です。同時に鏡視下の手術を行っており、以前に比べて早期社会復帰が可能になってきています。また、高齢者に多い変形性関節症に対しては人工膝関節や人工股関節置換術を中心とした治療を行っており、若年者における手術もおこなっています。
脊椎・脊髄疾患
腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症および頸椎症の患者さんが多く、内服治療や理学治療(リハビリ・温熱療法など)を行っています。高齢者に多い骨粗鬆症・脊椎圧迫骨折の患者さんには、当科での長期入院は困難であるため、安静・リハビリ加療を行い、必要に応じて自宅加療もしくは近隣医療施設での入院加療継続をお願いしております。
救急外傷
急性期救急病院として患者さんの受け入れが潤滑に可能な体制を整え、夜間および休日もオンコール制をとっております。事故、災害やスポーツ外傷による四肢、関節、体幹(骨盤・脊椎)の骨折や軟部組織(筋肉・腱・血管・神経)損傷を取り扱っていますが、緊急手術を要する場合も麻酔科・手術室スタッフと連携し、迅速に手術が可能な病院体制を取っております。
当地方では、高齢者の大腿骨近位部骨折症例も非常に多く、年間100例以上の手術を行っています。高齢者では低心機能(心不全)や内科的な合併症を持つ患者さんも少なくなく、循環器内科をはじめ各内科や他科の専門診療科スタッフの協力を得てチーム医療により、安全な医療が提供できるように取り組んでいます。
リハビリテーション
当院ではリハビリ設備も充実しており、広いリハビリ室に各種リハビリ器械を備えております。手術後のリハビリテーションも各疾患や手術に応じたクリティカルパスを利用し、早期から計画的に機能訓練を行っています。
研究・教育活動
当病院は昭和58 年4 月に日本整形外科学会の認定医研修施設の認定を受けております。西日本整形・災害外科学会、日本骨折治療学会等、整形外科関連の全国学会で学会発表をおこない臨床的な研究活動を行っています。
地域の先生方と一緒に学習する場として、人吉・球磨・えびの地区の整形外科医が集まるカンファレンス(症例検討会)を開催し、整形外科領域における稀な疾患や難治性の疾患についての検討を行い、病院間やスタッフ間での交流を深め医療連携が円滑に進むように努めております。また整形外科における各分野のトップクラスの専門医を講師に招いての公開講演会を開催しています。熊本県南部地域の整形外科医によって開催される不知火研究会に参加し、症例検討や情報交換を行い、熊本県南の中核病院である熊本労災病院、熊本総合病院、水俣医療センターとも交流を深め、常に密接な連携関係が取れるように致しております。
臨床研修制度の一環として初期研修医を整形外科に受け入れ、骨折や外傷に対するプライマリケアや関節外科の基礎、整形外科的基本手技が習得できるよう指導・教育を行っております。
手術風景 | 入院病棟 |
手術件数
手術名 | 2019年 | 2020年 | 2021年 |
---|---|---|---|
観血的骨接合術 | 385 | 363 | 343 |
抜釘術 | 101 | 132 | 114 |
人工関節置換術 | 102 | 71 | 94 |
手根管開放手術 | 16 | 64 | 41 |
人工骨頭挿入術 | 41 | 46 | 55 |
腱鞘切開術 | 24 | 25 | 28 |
創傷処理 | 32 | 22 | 23 |
関節鏡下手術 | 53 | 19 | 18 |
軟部腫瘍等摘出術 | 43 | 18 | 16 |
一時的創外固定骨折治療術 | - | 13 | 15 |
関節炎掻爬術 | - | 12 | 8 |
偽関節手術・骨移植術 | 14 | 8 | 6 |
アキレス腱断裂手術 | 14 | 6 | 5 |
腱移行術・腱/靱帯縫合術 | 4 | 5 | 5 |
骨腫瘍切除術 | 3 | 5 | - |
神経移行術 | 5 | 4 | 7 |
四肢切断術 | 6 | 4 | 9 |
その他 | 61 | 32 | 19 |
総計 | 904 | 849 | 806 |
スタッフ
薬師寺 俊剛 (院長)
医学博士
[専 門]整形外科一般、骨軟部腫瘍、股関節外科
[所属学会]日本整形外科学会(専門医)
日本リウマチ学会(専門医)
日本リハビリテーション医学会
日本小児整形外科学会
日本骨折治療学会
日本人工関節学会
日本股関節学会
西日本整形・災害外科学会
運動器リハビリテーション医
松下 紘三(部長)
医学博士
[専 門]整形外科一般
[所属学会]日本整形外科学会(専門医)(認定運動器リハビリテーション医)
日本人工関節学会
日本股関節学会
西日本整形・災害外科学会
後藤 裕之(医長)
[専 門]整形外科一般
[所属学会]日本整形外科学会(専門医)
西日本整形・災害外科学会
内田 裕己(医員)
日本整形外科学会
的場 啓五(医員)
日本整形外科学会
西日本整形・災害外科学会
緩和ケア研修会