診療・各部門
診療の特色
腹部および末梢血管の外科治療を行っています。腹部大動脈瘤にたいする開腹人工血管置換術、閉塞性動脈硬化症にたいする外科的血行再建術、急性動脈閉塞にたいする血栓除去術などを行っています。下肢静脈瘤にたいしては血管内焼灼術や血管内塞栓術、スタッブアバルジョン法による静脈瘤切除や静脈瘤硬化療法などを行っています。透析用のシャント造設、上腕動脈表在化、カフ付きカテーテル留置などを行っています。
1.腹部大動脈瘤
動脈が膨らむ病気で大きなものは破裂の危険性があります。瘤の大きさが5cm以上の方は治療の適応があります。治療には①開腹手術と②血管内治療の二つの方法があります。①開腹手術は腹部を切開して動脈瘤を人工血管に置き換える手術です。当院では10cm前後の小切開開腹による低侵襲手術と早期離床を行っています。また、術前に自己血を貯血し、術中セルセーバーを用いて無輸血手術に努めています。②血管内治療は足の付け根を小切開して動脈瘤の中へステント付き人工血管を挿入する治療で、開腹手術より低侵襲な治療法です。
2.閉塞性動脈硬化症
閉塞性動脈硬化症は動脈硬化によって動脈が閉塞し、下肢の血流障害をきたす病気です。治療は禁煙、薬物治療、運動療法などの保存的治療と血行再建術があります。血行再建術には①血管内治療と②外科手術があります。①血管内治療はカテーテルを用いて病変部位を広げる方法です。②外科的手術は人工血管や自家静脈を用いたバイパスや血管形成により血流を改善する方法です。
3.急性動脈閉塞
末梢動脈が急に閉塞する状態です。下肢の疼痛、蒼白、知覚鈍麻、運動麻痺が出現し、壊死することがあります。治療は緊急を要し、カテーテルを用いて血栓を吸引する治療と、動脈を切開し、フォガティカテーテルを用いて血栓を除去する外科治療があります。
4.下肢静脈瘤
下肢の皮下静脈が拡張、蛇行したものです。美容上の問題だけでなく、静脈うっ滞による下肢のだるさ、こむら返り、むくみなどの症状を伴うことがあります。また静脈炎、皮膚炎、色素沈着、潰瘍などの合併症を起こすこともあります。手術治療は伏在静脈の逆流を止める処置と静脈瘤切除や硬化療法を組み合わせて行います。伏在静脈の処置は①外科手術による抜去、②カテーテルによる血管内焼灼、③接着剤による閉塞が保険適用になっています。
5.透析用シャント作製術
慢性腎不全で透析導入が必要と判断された方にたいして、局所麻酔下に橈骨動脈と橈側皮静脈を用いたシャントを作製しています。
2023年度 手術症例
手術名 | 件数 |
腹部大動脈瘤手術 | 3 |
閉塞性動脈硬化症手術 | 1 |
動脈塞栓除去術 | 7 |
下肢静脈瘤・血管内焼灼術 | 32 |
下肢静脈瘤・血管内塞栓術 | 21 |
下肢静脈瘤・硬化療法 | 5 |
透析用内シャント造設術 | 16 |
上腕動脈表在化 | 1 |
その他 | 3 |
計 | 89 |
リンパ浮腫外来
診療の内容
リンパ浮腫をはじめとする浮腫全般の診断、治療を行っています。リンパ浮腫にたいしては複合的理学療法(リンパドレナージ、圧迫、圧迫下の運動、スキンケア)と日常生活指導を行っています。当院では「リンパ浮腫指導技能者」「医療リンパドレナージセラピスト」「弾性ストッキング・圧迫療法コンダクター」の資格を持つスタッフが対応します。
2023年度 実績
外来を受診された方の延べ数 128名
リンパドレナージを受けた方の延べ数 246名
スタッフ
医師:下川 恭弘、田浦 尚宏、渡邉 龍太郎
看護師(リンパ浮腫指導技能者):神田 尚美